「工場勤務は同じことの繰り返しで、スキルが身につかない」
「工場から別の職種へ転職するのは難しい」
「工場で身につけたスキルは、その工場・その工程でしか使えないのでは?」
このように考えている方は少なくないと思います。
実際、工場の仕事には、担当する工程によっては毎日ほとんど同じ作業を繰り返す仕事もあります。
私自身、中小企業と大手企業の工場で合計6年間働いてきました。
その経験から言うと、「工場勤務ではスキルが身につかない」という考え方は、半分正しく、半分間違っています。
確かに、何も考えずに同じ作業だけを繰り返していれば、身につく能力が限定されることはあります。
一方で、工場で働く中でも、
- 他工程との連携
- トラブルへの対応
- 新人教育
- 作業改善
- 数値管理
- 生産計画
- 設備に関する知識
- 品質管理
- チームで仕事を進める力
など、別の仕事でも活かせる能力は身につけられます。
そして会社員で身につく可能性があるスキルは、大きく分けると、
①他の仕事にも持っていきやすい「ポータブルスキル」
②特定の仕事で武器になる「テクニカルスキル」
の2種類に分けて考えると分かりやすくなります。
この記事では、工場勤務6年の経験をもとに、工場で身につくスキル、身につかないと言われる理由、そして工場経験を転職でどう活かすかまで解説します。
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- 結論:工場勤務でもスキルは身につく。ただし「何を経験したか」で差が出る
- 工場勤務で身につくスキルは「ポータブル」と「テクニカル」に分けて考える
- ポータブルスキルとは?工場勤務でも意外と身についている
- 「同じ作業を5年」でも、そこから得られるものはある
- ポータブルスキルは「当たり前」に見えるからこそ気づきにくい
- 工場で身についたポータブルスキルは他業界でも応用できる
- 工場勤務ではテクニカルスキルも身につけられる
- テクニカルスキルは「万が一」のバックアップにもなる
- 工場経験に別の職種経験を掛け合わせると、希少性が生まれることもある
- 「工場勤務ではスキルが身につかない」と感じる3つの理由
- 工場勤務でスキルを増やすなら「仕事の全体像」を見る
- 班長やリーダーを目指すこともスキルアップにつながる
- 生産管理や改善に関わると「数字を扱う力」も身につく
- 工場から転職するなら「経験を捨てる」のではなく「翻訳する」
- 工場勤務で身についたスキルを転職で活かす3ステップ
- 「スキルがない」と思ったら、厚労省のツールで棚卸ししてみるのもいい
- 工場勤務は「スキルが身につかない」のではなく「スキルが見えにくい」
- 工場勤務から転職するときに「捨てるもの」と「持っていくもの」を分ける
- 工場勤務はスキルが身につかないのではなく、身についたスキルが隠れている
- よくある質問
- まとめ:工場勤務で身につくスキルは、あなたが思っているより多い
結論:工場勤務でもスキルは身につく。ただし「何を経験したか」で差が出る

まず結論から言います。
工場勤務だからスキルが身につかない、ということはありません。
ただし、工場で働いていれば自動的に市場価値の高いスキルが身につくわけでもありません。
ここは分けて考えたほうがいいです。
たとえば、同じ工場勤務5年でも、
Aさん
毎日同じ工程だけを担当し、決められた作業を繰り返して5年間勤務した。
Bさん
同じ工程を担当しながら、後輩の教育、他工程との調整、トラブル対応、作業改善まで経験した。
この2人では、5年間という勤務年数は同じでも、経験していることが違います。
さらに、
Cさん
Bさんの経験に加えて、班長として人員配置や生産数の管理、作業計画まで担当した。
となれば、さらに経験の幅は広がります。
つまり、
「工場勤務何年」だけでは、どんなスキルが身についているのかは判断できません。
重要なのは、
その工場で何を経験し、どこまで仕事の範囲を広げたのか
です。

工場勤務で身につくスキルは「ポータブル」と「テクニカル」に分けて考える

ここで、工場勤務のスキルを考えるうえで重要なのが、ポータブルスキルとテクニカルスキルです。
厚生労働省は、ポータブルスキルを「業種や職種が変わっても持ち運びができる職務遂行上のスキル」と説明しています。
「仕事の進め方」と「人との関わり方」の2つに分け、現状把握、課題設定、計画立案、課題遂行、状況対応、社内対応、社外対応、上司対応、部下マネジメントなどの要素で整理しています。
一方、テクニカルスキルは、特定の仕事を遂行するために必要な専門知識や技術です。
工場勤務の場合なら、
- 機械操作
- 加工技術
- 設備保全
- 品質管理
- 生産管理
- 工程管理
- CAD
- 電気・制御
- 食品加工
- 溶接
などが該当します。
イメージとしては、こうです。
工場勤務で身につく可能性があるスキル
│
┌────────────────┴────────────────┐
│ │
ポータブルスキル テクニカルスキル
「持ち運べる能力」 「専門的な能力」
│ │
┌─────────┴─────────┐ ┌─────────┴─────────┐
│ │ │ │
仕事のし方 人との関わり方 設備・加工・品質 生産・工程管理
│ │ │ │
課題発見・計画 連携・調整 機械操作・保全 生産計画・改善
問題解決・対応 教育・報告 加工技術・品質 数値管理・工程管理
│ │ │ │
└─────────┬─────────┘ └─────────┬─────────┘
│ │
他業界・他職種へ 同業界・専門職へ
応用しやすい 活かしやすい
この2つを分けて考えると、「工場勤務では何も身につかない」という考え方が少し変わってきます。
ポータブルスキルとは?工場勤務でも意外と身についている

ポータブルスキルとは、簡単に言えば、仕事が変わっても持っていきやすい能力です。
たとえば、
- 問題が起きたときに原因を考える
- 作業の優先順位をつける
- スケジュールを管理する
- 他の人と連携する
- 上司へ報告する
- トラブルに対応する
- 新人に仕事を教える
- 周囲と調整する
といった能力です。
これらは「工場特有の技術」ではありません。
そのため、工場から転職するときにも活用できる可能性があります。
工場での経験を別の仕事に置き換えてみる
例えば、工場で他工程との連携を担当していたとします。
自分の工程だけ終わればいいわけではありません。
前工程から製品を受け取り、自分の工程で加工し、次工程へ渡す。
問題が起きれば、
「このままでは次の工程に流せない」
「応援が必要」
「品質上の問題がある」
などを判断し、関係者へ報告・相談する必要があります。
これは単なる「工場作業」でしょうか。
別の仕事に置き換えてみます。
たとえば卸営業なら、
仕入先
↓
自社
↓
自社工場
↓
取引先
という複数の関係者をつなぎながら仕事を進める必要があります。
工場で培った「自分の仕事だけを見るのではなく、前後工程まで考えて周囲と連携する力」が、営業の仕事で活きる可能性があります。
もちろん、工場経験だけで営業ができるという話ではありません。
ただ、
工場で身につけた能力の一部を、別の仕事の能力として再利用することはできる
ということです。

「同じ作業を5年」でも、そこから得られるものはある

例えば、機械系の工場で、Aさんがドリルを磨き上げる工程を5年間担当したとします。
一日中ほとんど同じ作業です。
「これでは何のスキルにもならない」
と感じるかもしれません。
確かに、その作業そのものが他社・他職種でそのまま使えるとは限りません。
しかし、5年間仕事を続ける中で、
- 品質を安定させる
- ミスを減らす
- 作業速度を維持する
- 異常を見つける
- 手順を守る
- 納期を守る
- 周囲と連携する
といった経験をしている可能性があります。
つまり、
「ドリルを磨ける」というテクニカルな経験
だけを見るのではなく、
「品質を維持しながら決められた仕事を継続し、異常があれば報告・対応する」という仕事の進め方
まで見る。
ここまで含めれば、見えてくるスキルは変わります。
ポータブルスキルは「当たり前」に見えるからこそ気づきにくい

工場勤務者が自分のスキルを過小評価しやすい理由の一つが、毎日やっていることをスキルだと思わなくなることです。
例えば、
「毎日遅刻せず出勤する」
「決められた品質を守る」
「異常があれば報告する」
「忙しいときは周囲を手伝う」
「新人に仕事を教える」
「予定通り生産する」
当たり前かもしれません。
しかし、転職して仕事が変われば、それらが当たり前ではなくなることもあります。
だからこそ、
「当たり前にやっていたこと」の中に、自分のスキルが隠れている
と考えてみてください。
ただし、ここで注意したいのは、単に「真面目」「我慢強い」と言うだけでは転職市場で強いアピールになりにくいことです。
大切なのは、
行動 → 能力 → 結果
まで落とし込むことです。
例えば、
「私は責任感があります」
より、
「欠員が出た際にも生産計画への影響を考え、周囲と作業を調整しながら納期を守ってきました」
のほうが、具体的で評価を得やすいです。
工場で身についたポータブルスキルは他業界でも応用できる

ここは工場から転職したい人にとって特に重要です。
例えば、工場勤務からホテルのフロントへ転職したとします。
工場経験がホテルでそのまま使えるわけではありません。
ホテルの接客や予約システムなど、新しく覚えることは当然あります。
しかし、これまでの経験の一部は応用できます。
| 工場で経験したこと | 身についた可能性がある能力 | ホテルでの応用例 |
|---|---|---|
| 他工程との連携 | 調整力・連携力 | 清掃・フロントなどとの連携 |
| トラブル対応 | 状況判断・問題解決 | 顧客トラブルへの対応 |
| 新人教育 | 説明力・教育力 | 新人スタッフの教育 |
| 生産計画 | スケジュール管理 | 予約・客室状況の管理 |
| 品質管理 | 正確性・品質意識 | 接客・客室サービスの品質維持 |
| 設備対応 | 設備への理解・異常対応 | 施設設備の異常時の初動対応 |
もちろん、これは「工場経験があればホテルの仕事が簡単にできる」という意味ではありません。
そうではなく、
工場で培った能力の一部を、ホテルという別の仕事で再利用できる可能性がある
ということです。
これがポータブルスキルの面白いところです。
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工場勤務ではテクニカルスキルも身につけられる

ここまでポータブルスキルの話をしましたが、もう一つ忘れてはいけないのがテクニカルスキルです。
テクニカルスキルは、その仕事をするための専門知識・技術です。
例えば工場なら、
- 機械加工
- 設備保全
- 品質管理
- 生産管理
- 工程管理
- 電気
- 制御
- CAD
- 溶接
- 食品加工
などがあります。
ここは「工場勤務なら必ず身につく」とは言いません。
担当業務によって大きく差が出るからです。
しかし、工場の中で仕事の範囲を広げれば、テクニカルスキルを増やす余地は十分あります。
例えば、
製造
↓
品質管理
↓
生産管理
↓
設備保全
↓
班長・リーダー
というように、社内で経験を広げられる場合もあります。
資格についても、
- フォークリフト
- 玉掛け
- クレーン
- 電気系資格
- 機械系資格
- 品質管理関連資格
など、仕事内容に応じて専門性を積み上げられます。
大切なのは、
「工場にいるだけで専門性が身につく」と考えるのではなく、「今の仕事から何を広げられるか」を考えること
です。
テクニカルスキルは「万が一」のバックアップにもなる

ここは工場勤務のキャリアを考えるうえで、意外と重要です。
例えば、工場勤務から営業へ転職したとします。
営業が自分に合っていれば、そのまま営業としてキャリアを積めばいい。
では、もし営業が合わなかったら?
そのとき、
「工場経験+営業経験」
が残っています。
さらに工場で設備保全や品質管理などの専門性を身につけていれば、
「専門性を持ったうえで営業経験もある人」
として、再び製造業に戻る選択肢も考えられます。
つまり、
ポータブルスキルはキャリアを横に広げる武器。
テクニカルスキルは専門性を積み上げ、戻る場所を作る武器。
こう考えると分かりやすいでしょう。
工場経験に別の職種経験を掛け合わせると、希少性が生まれることもある

さらに面白いのがここです。
工場勤務から転職するとき、
「工場経験を捨てて新しい仕事に行く」
と考える必要はありません。
むしろ、
工場経験+新しい職種
という組み合わせを作れます。
例えば、
工場経験+営業
→ 製造業に詳しい営業
工場経験+品質管理
→ 現場を理解した品質担当者
工場経験+生産管理
→ 現場経験のある生産管理担当者
工場経験+設備管理
→ 現場経験を持つ設備担当者
工場経験+IT
→ 製造現場を理解したIT人材
もちろん、組み合わせれば必ず市場価値が上がるわけではありません。
しかし、「工場しか知らない」という見方を、「工場を知っている」という強みに変えられる可能性があります。
キャリアは足し算だけではありません。
経験×経験
で、別の価値が生まれることがあります。
「工場勤務ではスキルが身につかない」と感じる3つの理由

ここまで読んでも、
「いや、自分の仕事にはそんな経験ないよ」
と思う人もいるでしょう。
これは当然です。
工場によって仕事の内容は大きく違います。
そして、工場勤務でスキルが身につきにくい状況も実際にあります。
同じ工程だけを長期間担当する

一つの工程だけを何年も担当していると、経験できる範囲が狭くなります。
これは本人の能力というより、会社の配置による部分も大きいです。
仕事を任されても「なぜ」を考える機会がない

ただ指示された作業をこなすだけでは、経験が知識や能力に変わりにくいことがあります。
「なぜこの手順なのか」
「なぜこの数値なのか」
「なぜこの不良が起きるのか」
と考えるだけでも、仕事の見え方は変わります。
自分から仕事の範囲を広げない

これも大きいです。
担当工程以外を知らない。
新人教育をしない。
改善活動に参加しない。
他工程に関わらない。
こうなれば、数年働いても経験が限定される可能性があります。
つまり、
工場だからスキルが身につかないのではなく、「経験を広げる機会がない」「広げようとしない」ことでスキルが限定されることがある
ということです。
工場勤務でスキルを増やすなら「仕事の全体像」を見る

では、どうすればいいのか。
私がおすすめしたいのは、まず自分の工程だけではなく、工場全体を見ることです。
例えば、
原料入荷
↓
加工
↓
検査
↓
包装
↓
出荷
という工場なら、
「自分は加工担当だから加工だけ」
ではなく、
前工程では何をしているのか。
後工程では何が必要なのか。
品質管理は何を見ているのか。
生産管理は何を考えているのか。
設備担当は何を管理しているのか。
と見ていきます。
これだけでも、仕事に対する視野が変わります。
班長やリーダーを目指すこともスキルアップにつながる

「大きな役職に就かなければスキルが身につかない」
ということではありません。
例えば班長になれば、
- 人員配置
- 新人教育
- 作業指示
- 生産数の確認
- 品質確認
- トラブル対応
- 上司への報告
- 他部署との調整
など、作業者とは違う経験が増えます。
特に大きいのが、自分が作業するだけではなく、人を動かして成果を出す経験です。
これは他の職種でも使いやすい経験です。
「班長になった」という肩書きだけを見るのではなく、
何人をまとめたのか
何を管理したのか
どんな問題を解決したのか
まで整理しておくと、転職時にも説明しやすくなります。
生産管理や改善に関わると「数字を扱う力」も身につく

2社目の工場では、同じ解凍原料でも歩留まりを改善するために水での解凍温度を変え、データとして残す経験がありました。
さらに、
- 作業人数
- 原料の重量
- 加工時間
- 生産量
- 歩留まり
などを見ながら、効率を考えていました。
これは一見すると「工場の話」にしか見えません。
しかし、少し抽象化すると、
条件を変える
↓
データを取る
↓
結果を比較する
↓
より良い方法を考える
という問題解決です。
この考え方は、工場以外でも使えます。
営業でも、
「どの顧客にどのアプローチをしたら成約率が上がるか」
を考えます。
ホテルでも、
「どの時間帯にどれだけ予約が入るか」
「人員をどう配置するか」
を考えます。
事務でも、
「どの作業に時間がかかっているか」
「どうすればミスを減らせるか」
を考えます。
つまり、
工場で扱っていた数字そのものではなく、「数字を使って仕事を改善する考え方」が持ち運べる場合がある。
ここは工場勤務者が自分では気づきにくい部分だと思います。
工場から転職するなら「経験を捨てる」のではなく「翻訳する」

ここまで読んで、
「でも、結局工場から営業とかホテルに行ったら未経験じゃないの?」
と思うかもしれません。
その通りです。
営業未経験なら営業未経験です。
ホテル未経験ならホテル未経験です。
ここを無理に「経験者」と言い換える必要はありません。
重要なのは、
未経験でも、これまでの経験から何を持っていけるか
です。
例えば、
「工場で働いていました」
だけではなく、
「製造工程で他工程との連携を行い、異常発生時には関係部署への報告・調整を担当していました」
と伝える。
さらに、
「新人教育も担当し、相手の理解度に応じて作業手順を説明していました」
と伝える。
これなら、採用側も「工場で何をしていた人なのか」をイメージしやすくなります。
工場勤務で身についたスキルを転職で活かす3ステップ

① 今までやってきたことを全部書き出す

まずは「スキル」という言葉を考えなくていいです。
例えば、
- 機械を操作した
- 新人を教えた
- 班長を補佐した
- 他工程と連携した
- 不良対応をした
- 設備トラブルに対応した
- 生産数を管理した
- 作業時間を計測した
- 改善提案をした
など、とにかく書き出します。
② それを「能力」に変換する

次に、
やったこと → 身についた能力
に変えます。
例えば、
新人教育をした
↓
相手に合わせて説明する力
他工程と調整した
↓
調整力・コミュニケーション能力
生産数を管理した
↓
数値管理・進捗管理
トラブル対応をした
↓
状況判断・問題解決力
と変換します。
③ 応募する仕事でどう使えるか考える

最後に、
能力 → 応募先での活用
までつなげます。
これで初めて「転職で使える経験」になります。
「スキルがない」と思ったら、厚労省のツールで棚卸ししてみるのもいい

自分で考えても何がスキルなのか分からない人は、客観的なツールを使う方法もあります。
厚生労働省には「ポータブルスキル見える化ツール」があり、自分のポータブルスキルを測定し、それを活かせる職務・職位を確認できます。
また、厚生労働省の「job tag」には、職業ごとの仕事内容やスキル、知識などを確認できる機能があります。
「自分には何もない」と思っている人ほど、一度こうしたツールを使ってみてもいいでしょう。
工場勤務は「スキルが身につかない」のではなく「スキルが見えにくい」

ここまでの話を整理すると、工場勤務には確かに、
その会社・その設備・その工程でしか通用しにくい経験
があります。
これは否定しません。
例えば、特定の機械の操作方法を5年間覚えたとしても、その機械が存在しない会社では、そのままでは使えないかもしれません。
しかし、それだけを見て、
「だから自分にはスキルがない」
と結論づける必要はありません。
その5年間の中で、
- 問題が起きたときどう対応したか
- 周囲とどう連携したか
- 品質をどう維持したか
- 作業をどう改善したか
- 新人をどう育てたか
- 数字をどう管理したか
- 設備について何を学んだか
まで掘り下げれば、別の能力が見えてきます。
工場勤務者が持っているスキルは、本人にとって当たり前すぎて見えなくなっていることがあります。
だからこそ、一度「作業」ではなく「能力」という視点で自分の仕事を見直してみてください。
工場勤務から転職するときに「捨てるもの」と「持っていくもの」を分ける

転職を考えているなら、これも覚えておいてほしいです。
工場から別の仕事に行くとき、
全部捨ててゼロからスタートする必要はありません。
持っていけるものがあります。
捨てる可能性があるもの
- 会社独自のルール
- 特定設備だけの操作方法
- 工場独自の専門用語
- その会社だけで通用する慣習
持っていきやすいもの
- 問題解決力
- 調整力
- 報告・連絡・相談
- スケジュール管理
- 教育経験
- チームワーク
- 品質意識
- 数値管理
- トラブル対応力
さらに専門性として持っていけるもの
- 設備保全
- 生産管理
- 品質管理
- 機械・電気系の知識
- 加工技術
- CADなどの専門スキル
つまり、
転職とは、それまでのキャリアを捨てることではなく、持っていけるものを選別すること
とも考えられます。
工場勤務はスキルが身につかないのではなく、身についたスキルが隠れている

工場の仕事には、会社から与えられた工程を黙々とこなす働き方もあります。
それ自体が悪いわけではありません。
ただ、その状態が何年も続いて、
「自分は何ができるんだろう」
となったときには、一度立ち止まったほうがいいでしょう。
今の会社で、
別工程を経験できないか。
新人教育を任せてもらえないか。
改善活動に参加できないか。
班長を目指せないか。
生産管理や品質管理に関われないか。
設備について勉強できないか。
こうした選択肢を探してみる。
必ず転職する必要はありません。
むしろ、今の職場で経験を一つ増やしてから転職したほうが、キャリアの選択肢が広がることもあります。
よくある質問

工場勤務は本当にスキルが身につかないのですか?
いいえ。工場勤務でもポータブルスキルとテクニカルスキルの両方が身につく可能性があります。
ただし、担当する仕事によって差が大きいため、「工場勤務○年=これだけのスキルが身につく」とは言えません。
重要なのは勤務年数だけではなく、経験した業務の幅と深さです。
工場勤務から他業界へ転職できますか?
可能です。
ただし、工場経験がそのまま別業界の経験として扱われるわけではありません。
「工場で何をしていたか」を、応募先で活かせる能力に翻訳することが重要です。
例えば、他工程との調整は調整力、新人教育は教育・説明力、生産数の管理は進捗・数値管理、トラブル対応は問題解決力として説明できます。
工場勤務から営業に転職するとき、何をアピールすればいいですか?
コミュニケーション能力だけをアピールするより、具体的な行動を伝えましょう。
例えば、
「他工程と納期や品質について調整していた」
「トラブル時に関係部署と連携して解決していた」
「新人教育を担当していた」
などです。
その経験を営業でどのように活かせるかまで説明すると、より伝わりやすくなります。
工場勤務でテクニカルスキルを身につけるにはどうすればいいですか?
まず、自分の担当業務の周辺にある専門領域へ目を向けてみましょう。
例えば製造なら品質管理、生産管理、設備保全などです。
いきなり大きなキャリアチェンジをする必要はありません。
「今の仕事の隣にある仕事」を経験することで、専門性を広げられる場合があります。
工場勤務から転職するなら、資格を取ったほうがいいですか?
資格は選択肢の一つですが、資格だけを集めればいいわけではありません。
仕事内容と関係する資格であれば専門性を証明する材料になります。
一方で、資格がなくても実務経験そのものが評価されるケースもあります。
まずは「どんな仕事に転職したいか」を決め、その仕事に必要なスキルや資格から逆算すると無駄が少なくなります。
工場勤務を続けるべきか、転職するべきか迷っています
まず、「工場が嫌なのか」「今の工場が嫌なのか」を分けて考えてみてください。
工場そのものが嫌なら、ポータブルスキルを整理して他業界・他職種への転職を検討してもいいでしょう。
一方、
「今の仕事は単調だけど製造業自体は嫌いではない」
のであれば、品質管理、生産管理、設備保全、班長など、工場内で仕事内容を変える方法もあります。
転職だけがキャリアアップではありません。
まとめ:工場勤務で身につくスキルは、あなたが思っているより多い

「工場勤務ではスキルが身につかない」
これは、完全な間違いとも完全な正解とも言えません。
確かに、同じ工程だけを何年も担当していれば、専門性の幅が広がりにくいことはあります。
しかし、工場勤務の中には、あなたが思っている以上に多くの経験が隠れています。
今回のポイントをまとめます。
- 工場勤務でもスキルは身につく
- スキルは「ポータブルスキル」と「テクニカルスキル」に分けて考えると分かりやすい
- ポータブルスキルは他業界・他職種への転職でも活用できる可能性がある
- テクニカルスキルは専門性として積み上げられ、同業界への転職などでバックアップになる
- 工場経験+別職種の経験によって、独自の強みが生まれることもある
- 工場で何年働いたかだけではなく、何を経験したかが重要
- 「作業」を「能力」に翻訳することで、自分の市場価値が見えやすくなる
そして、私が工場勤務を6年間経験して感じるのは、
工場でスキルが身につくかどうかは、工場という場所だけでは決まらない
ということです。
同じ工場でも、
ただ目の前の作業をこなす人と、
「この工程の前後では何が起きているんだろう」
「この作業はどうすれば効率化できるだろう」
「別の仕事でも使える経験はないだろうか」
と考える人では、数年後に持っているものが変わってきます。
もちろん、すべてを本人の努力だけの問題にする必要もありません。
会社によっては異動できない、改善活動に参加できない、教育を任せてもらえないなど、本人だけではどうにもならない環境もあります。
だからこそ、
「自分にはスキルがない」と決めつける前に、一度これまでの仕事を棚卸しが重要になってきます。
あなたが「ただ工場で作業していただけ」と思っていた経験の中に、
他の仕事でも使える能力と、これから専門性として伸ばせる能力の両方が眠っているかもしれません。
そして、もし今の工場で経験を広げられる余地があるなら、別工程、教育、改善、品質、生産管理、設備など、まず一つでも仕事の範囲を広げてみる。
それでも、
「この会社ではもう経験を広げられない」
「別の仕事に挑戦したい」
と思うなら、その時点で転職を考えても遅くありません。
持っていけるスキルを見つけ、必要なら新しいスキルを掛け合わせる。
それが、工場勤務からキャリアを広げていく一つの方法だと思います。



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