退職代行というサービスに対して、
「甘えではないか」
「自分で言うべきだろう」
「社会人として無責任だ」
そんな意見を見かけることがあります。
確かに、本来は自分の口で退職を伝えられるのが理想です。
私もそう思います。
ですが、それでも私は退職代行を頭ごなしに否定することができません。
なぜなら、過去に「退職代行を使ってでも辞めてほしかった人」がいたからです。
「退職代行でも使おうかな」と笑っていた元上司

以前、同じ職場にKさんという人がいました。
仕事ができて、周囲からの信頼も厚い人でした。
職場は慢性的な人手不足。
入れ替わりも激しく、会社としても頼らざるを得ない状況でした。
Kさんは何度か退職を考えていました。
ですが、そのたびに少しだけ給与を上げられたり、引き止められたりして職場に残り続けました。
ある日、冗談交じりにこんなことを言いました。
「退職代行でも使おうかな」
私もその時は深く考えませんでした。
ですが今振り返ると、あれはSOSだったのかもしれません。
Kさんはとても真面目な人でした。
「退職代行は甘えだ」
「自分で言わないといけない」
そんな考えを持っていたように思います。
しかし私は今、退職代行を使ってでも辞めてほしかったと思っています。
真面目な人ほど辞められない

退職代行を利用する人には様々な事情があります。
入社した会社が想像以上にブラックだった人。
退職を申し出ても聞き入れてもらえない人。
強い引き止めにあっている人。
そして、
「自分が辞めたら会社が回らなくなる」
と思っている人です。
実は私は、この最後のタイプの人ほど危ないと思っています。
責任感が強い人ほど、
- 迷惑をかけたくない
- 引き継ぎが終わっていない
- 今辞めたら現場が困る
と考えます。
その気持ちは間違っていません。
むしろ立派です。
ですが、その責任感が自分自身を追い詰めることもあります。
人が一人辞めても会社は回る

Kさんがいなくなった後、職場は混乱しました。
当然です。
長年支えてきた人が突然いなくなったのですから。
ですが、その混乱は永遠には続きませんでした。
社員数名の小さなベンチャー企業ですら、数週間後には業務が回り始めていました。
これはKさんの価値が低かったという話ではありません。
むしろ逆です。
Kさんは必要とされていました。
それでも組織は適応します。
残酷な言い方になるかもしれませんが、多くの場合、会社は一人辞めても回ります。
だからこそ、
自分の人生や健康を犠牲にしてまで残り続ける必要があるのかは考えてほしいのです。
身体も心も壊れる

人間の身体は無理をし続ければ壊れます。
心も同じです。
ある程度までは耐えられるかもしれません。
ですが、その限界が分からなくなるほど無理をしている状態は危険です。
同じ職場には、現在フリーランスとして働いている方もいました。
若い頃は長時間労働が当たり前の会社で働いていたそうです。
学生時代は野球部。
体力にも自信がありました。
それでも無理を重ねた結果、今でも睡眠障害に悩んでいると聞きます。
これは根性の問題ではありません。
気合の問題でもありません。
人は構造によって壊れることがあります。
どれだけ真面目な人でも。
どれだけ体力に自信がある人でも。
こんな状態なら一度立ち止まってほしい

もし今、
- 睡眠不足が続いている
- 休日も仕事のことが頭から離れない
- 出勤前から気分が重い
- 常に疲労感がある
- 「みんな我慢しているから」と自分に言い聞かせている
そんな状態なら一度立ち止まってほしいと思います。
特に危険なのは、
「これが普通だ」
と思い始めることです。
環境に慣れることと、無理に適応することは違います。
自分の感覚が麻痺していないか、一度確認してみてください。
退職代行は甘えではなくセーフティネットかもしれない

私は退職代行を誰にでも勧めたいわけではありません。
本来は自分の口で伝えるのが理想です。
ですが現実には、
退職の意思を伝えても取り合ってもらえない会社があります。
辞めさせない空気を作る会社があります。
人の責任感につけ込む会社もあります。
そんな環境にいる人に対して、
「退職代行は甘えだ」
と言い切ることは私にはできません。
退職代行は楽をするための仕組みではなく、
どうしても辞められない人のためのセーフティネットとして機能している面もあると思うのです。
まとめ

労働者に退職の意思があれば辞められる。
本来、それは当たり前のことです。
私は、労働者が安心して退職の意思を伝えられる会社こそ健全な会社だと思います。
そして、もしそれができない環境なら。
退職代行という選択肢があってもいい。
使わずに済むなら、それが一番です。
それでも、どうしても辞められない人がいるなら。
私は「甘え」ではなく、「自分を守る手段」として考えてもいいと思っています。
退職代行が必要かどうかは人それぞれです。
ですが、知っているだけで気持ちが楽になることもあります。



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