結論から言えば、水産工場は臭います。
これは働いている人ならほぼ全員が認める事実です。
魚介類を大量に扱う以上、どうしても生魚や貝類、エビ、イカなどの独特な臭いとは付き合っていかなければなりません。
私も最初は「仕事が終わったら相当臭うんじゃないか」と不安でした。
しかし、実際に働いてみると感じたのは、「臭いが付くこと」よりも「仕事中にその臭いの中で何時間も作業すること」のほうが大変だったということです。
仕事中は原料を大量に扱います。
解凍工程では魚やタコ、イカ、エビなどを水槽(ジャグジー)で解凍したり、味付け工程ではタレの入った大型タンクへ原料を投入したりします。
この作業ではどうしても魚の汁やタレが跳ね返ります。
どれだけ注意していても完全に避けることは難しく、作業着やエプロンには少しずつ臭いが付着していきます。
そのため、仕事が終わる頃には魚介類の臭いに加え、自分の汗も混ざり、一日の中で最も臭いが強くなります。
特に夏場は汗の量も増えるため、「魚+汗」の臭いになりやすく、冬よりもきついと感じる日が多かったです。
一方で、仕事が終わって着替え、帰宅後にしっかり入浴して髪や体を洗えば、臭いはほとんど気にならなくなります。
家族から「今日は魚臭いね」と言われることはありましたが、シャワーだけで済ませず浴槽に入り、シャンプーで髪まで丁寧に洗えば、その後に外出しても問題ないレベルまで臭いは落ちていました。
つまり、水産工場は確かに臭いますが、「一日中臭いが取れない」「私生活に大きく支障が出る」というほどではありません。
必要以上に心配する必要はないでしょう。
私が働いた2つの水産工場

私が勤務していたのは、規模も仕事内容も異なる2社の水産会社です。
どちらも水産業でしたが、仕事内容や臭いの種類、職場環境には違いがありました。
その経験があるからこそ、「水産工場は全部同じ」というわけではないこともお伝えできます。
海藻加工部門で働いた経験

1社目は海藻を中心に扱う比較的小規模な水産会社でした。
魚そのものを大量に加工する工程ではなかったため、生魚特有の強烈な臭いは比較的少なく、海藻独特の磯の香りが中心でした。
とはいえ、水産業である以上、防水エプロンを着用し、水を使う作業も多く、衣類には多少臭いが付きます。
また、この会社では作業着を自宅へ持ち帰って自分で洗濯する必要がありました。
家庭で洗濯する手間はありましたが、通常の洗濯で臭いは十分落ちていたため、そこまで大きな負担には感じませんでした。
解凍工程で働いた経験

2社目では、魚・イカ・タコ・エビ・貝類など、さまざまな魚介類を扱う解凍工程に配属されました。
こちらは1社目よりも臭いはかなり強く、水産工場らしい環境だったと思います。
魚介類を常温の水で解凍したり、味付け用のタンクへ投入したりする作業が多く、原料の汁やタレがどうしても作業着へ付着します。
工場では白衣・エプロン・長いビニール手袋・ゴム手袋を着用していたため、ある程度は防げましたが、それでも首元や腕、ズボンなどには臭いが付いていました。
一方で、この会社では白衣を専門業者が回収・洗濯してくれていたため、自宅へ臭いの付いた作業着を持ち帰る必要はありませんでした。
会社によってこうした衛生管理や洗濯体制は異なるため、求人を見る際は福利厚生の一つとして確認しておくと安心です。
水産工場で実際に臭いが付く場所

「魚の臭いが付く」と聞くと、全身が強烈に臭くなるイメージを持つ人もいるかもしれません。
しかし、実際に6年間働いて感じたのは、臭いが付きやすい場所と、ほとんど付かない場所があるということです。
工場では白衣やエプロン、手袋などを着用するため、想像しているより防げる部分も多くあります。
ここでは、私自身の経験をもとに、どこに臭いが付きやすかったのかを紹介します。
一番臭いが付くのは作業着と下に着ている服

臭いが一番付きやすいのは、やはり作業着です。
魚やエビ、イカ、タコなどを扱っていると、原料の汁や水しぶきが少しずつ飛んできます。
特に解凍工程では、大型のジャグジーで原料を解凍したり、味付け用のタンクへ原料を投入したりするため、完全に汁を浴びずに仕事を終えるのは難しいでしょう。
そのため、仕事が終わる頃には作業着には魚介類特有の臭いが付いています。
また、白衣の下に着ているTシャツにも多少臭いが移ります。
ただし、会社によっては白衣を専門業者がクリーニングしてくれるため、自宅まで強い臭いを持ち帰ることは少ない場合もあります。
私が勤務していた2社目では専門業者が洗濯してくれていたため、この点は非常に助かりました。
手は意外と臭くならなかった

「魚を毎日触るなら手が臭くなるのでは?」と思う人も多いでしょう。
私も働く前はそう思っていました。
しかし実際には、手の臭いはほとんど気になりませんでした。
理由は、衛生管理のために長いビニール手袋とゴム手袋を二重に着用していたからです。
特に甲殻類を扱う工程では異物混入防止や衛生面の理由から、しっかりとした手袋を着用します。
もちろん作業中に手袋の交換も行うため、素手で魚を触る機会はほとんどありません。
仕事が終わって手袋を外しても、手だけはほとんど魚臭くなっていませんでした。
むしろ臭いが付くのは、首元や腕、ズボンなど手袋で覆われていない部分です。
髪にも多少臭いは付く

髪の毛も多少臭いが付きます。
帽子を着用しているため直接魚に触れることはありませんが、工場内には魚介類の臭いが常に漂っています。
そのため、一日仕事を終えると髪にも臭いが移ります。
だからこそ、帰宅後はシャワーだけで済ませるより、シャンプーでしっかり洗うことをおすすめします。
私は仕事終わりには必ず髪まで洗っていました。
それだけでも臭いはかなり落ちるため、その後に買い物へ出かけても気になることはほとんどありませんでした。
一番最悪なのは長靴に水が入ること

6年間働いていて、一番避けたいと思っていたのがこれです。
長靴の中に魚の汁や水が入ること。
これは本当に最悪でした。
工場では大量の水を使います。
洗浄作業や解凍作業では床が濡れていることも多く、不注意で長靴の中へ水が入ってしまうことがあります。
こうなると靴下まで濡れてしまい、そのまま魚介類の臭いが染み込んでしまいます。
この状態で数時間仕事を続けるのはかなり不快でした。
だからこそ、水を大量に使う作業では長靴の中へ水が入らないよう常に気を付けていました。
どの魚介類が一番臭かったのか

水産工場では本当にさまざまな魚介類を扱います。
魚、エビ、イカ、タコ、貝類など、それぞれ臭いにも特徴があります。
その中でも、私が圧倒的に臭いが強いと感じたのは牡蠣(カキ)でした。
圧倒的に臭いが強かったのは牡蠣

私は牡蠣が好きです。
食べるのも好きですし、普段なら嫌いな臭いではありません。
それでも、加工現場で長時間大量の牡蠣を扱うと話は別でした。
牡蠣特有の濃い磯の香りが工場中に広がり、長時間その環境で作業していると、好きな私でも気持ち悪くなりそうになることがありました。
もちろん個人差はありますが、牡蠣は他の魚介類とは比べものにならないくらい臭いが強かったという印象です。
実際に牡蠣の臭いで辞めた新人もいた

これは実際に職場であった話です。
新しく入社した社員が、牡蠣を扱う工程へ配属されました。
しかし、その人はどうしても牡蠣の臭いに耐えられませんでした。
仕事を覚える以前に臭いだけで気分が悪くなってしまい、結局1か月もしないうちに退職してしまいました。
魚介類の臭いは、多くの人が数週間から数か月で慣れていきます。
実際に「最初はきつかったけど慣れた」という人もたくさんいました。
しかし、嗅覚が敏感な人や、生魚の臭いがどうしても苦手な人にとっては、慣れる前に限界を迎えてしまうこともあります。
仕事中の臭いは時間が経つほど強くなる

仕事が始まったばかりの頃は、まだそれほど臭いは気になりません。
しかし、時間が経つにつれて状況は変わります。
魚介類の汁や水しぶきが少しずつ作業着へ付着し、自分の汗も増えていくためです。
特に夏場は汗の量が多くなるので、仕事終わりには「魚介類の臭い」と「汗」が混ざった独特の臭いになります。
これが、一日の中で最も臭いが強いタイミングでした。
水産工場で働く人はどんな臭い対策をしている?

水産工場で働いていると、臭いを完全になくすことはできません。
しかし、実際に現場では多くの人が自分なりの対策をしており、それだけでもかなり快適に働けるようになります。
私自身が行っていたことや、周囲の社員が実践していた対策を紹介します。
昼休みに汗拭きシートを使う

私が一番効果を感じたのは、昼休みに汗拭きシートで体を拭くことです。
夏場は特に汗をかきます。
魚介類の臭いだけでなく、自分の汗が混ざることで臭いがさらに強く感じられるため、昼休みに一度リセットするだけでも午後の仕事がかなり楽になります。
首や腕、顔などをしっかり拭くだけでも爽快感がありますし、帰宅時の臭いも軽減できました。
費用もほとんどかからないため、これから働く人にはおすすめしたい対策です。
夏は替えのTシャツを持参する人も多かった

私の職場では、夏になると替えのTシャツを持参している社員が多くいました。
昼休みに新しいTシャツへ着替えるだけで、午後はかなり快適になります。
私自身も替えのTシャツを持参していた時期がありますが、汗で濡れたシャツを着続けるよりも圧倒的に快適でした。
特に暑い時期は、臭い対策だけでなく熱中症対策という意味でも効果があります。
白衣をクリーニングしてくれる会社はかなり助かる

会社によって異なりますが、2社目では白衣を専門業者が回収・洗濯してくれていました。
これは非常にありがたかったです。
毎日自宅へ持ち帰る必要がなく、家庭に魚の臭いを持ち込むことも少なくなります。
一方で、1社目では自分で洗濯しなければならなかったため、この点は会社によって差があると感じました。
洗濯すれば臭いは落ちる?

「魚の臭いって一度付いたら落ちないのでは?」
これは私も働く前に気になっていたことでした。
しかし、実際にはそこまで心配する必要はありません。
普通の洗濯でほとんど落ちた
私の経験では、通常の洗濯で臭いはほとんど落ちていました。
もちろん、原料の汁を大量に浴びたような日は別ですが、普段の作業で付く程度の臭いなら、一回洗濯すれば気になることはありませんでした。
洗剤は洗浄力の高いものを使うとさらに安心です。
また、白衣の下にTシャツを着ていたため、直接私服へ臭いが付くことも少なかったです。
帰宅後はシャワーよりお風呂がおすすめ

仕事が終わる頃には、魚介類の臭いと汗が混ざっています。
私は帰宅したらシャワーだけで済ませず、お風呂に入り、シャンプーまでしっかり行っていました。
これだけで臭いはかなり落ちます。
家族から「魚臭い」と言われることはありましたが、お風呂に入った後は普通に外出できる程度まで臭いはなくなっていました。
車は魚臭くなる?

これも気になる人が多いと思います。
結論から言えば、私はほとんど気になりませんでした。
実際、私だけでなく同僚の車にも何度か乗る機会がありましたが、「魚臭い」と感じたことはありません。
芳香剤を置いている人はいましたが、特別な消臭グッズを大量に使っている人はいませんでした。
きちんと着替えて帰宅し、作業着を持ち込まなければ、車まで魚臭くなるケースは少ないと思います。
面接で必ず聞かれたこと

私が入社した2社とも、面接で共通して聞かれた質問があります。
「魚の臭いは大丈夫ですか?」
この質問があるということは、それだけ臭いが理由で辞める人がいるということでもあります。
実際、多くの人は数週間から数か月で慣れます。
私自身も魚の臭いはむしろ好きな方でした。
魚を見ていると、「今日は刺身が食べたいな」「焼いたらおいしそうだな」と考えてしまうくらいでした。
しかし、人によってはどうしても受け付けない臭いがあります。
以前、牡蠣が苦手で退職した新人の話を紹介しましたが、もう一つ印象に残っている出来事があります。
魚だけが原因ではない

2社目では、魚だけでなく味付け工程もありました。
そこでは、みりんなどを使ったタレを大量に使用します。
ある社員は、そのみりんの臭いで気分が悪くなってしまいました。
そのため、その人はみりんを使う工程から外れ、別の工程へ配置転換されていました。
魚だけでなく、加工で使う調味料の臭いが苦手な人もいるということです。
水産工場はこんな人に向いている

私が6年間働いて感じたのは、臭いそのものよりも「慣れられるか」が重要だということです。
向いている人は、魚や海産物が好きだったり、多少臭いがあっても気にせず仕事に集中できる人です。
また、コツコツと同じ作業を続けることが苦にならない人や、体を動かす仕事が好きな人も向いているでしょう。
反対に、嗅覚が敏感で生魚の臭いを嗅ぐだけで気分が悪くなる人は、一度よく考えたほうがいいかもしれません。
「少し苦手」という程度なら慣れる人も多いですが、「どうしても無理」というレベルなら、毎日その環境で働くのはかなり大変です。
まとめ|臭いは避けられないが、必要以上に心配する必要はない

水産工場で働く以上、魚介類の臭いとは付き合っていくことになります。
これは6年間働いた私も断言できます。
しかし、実際に働いてみると、「一日中臭いが取れない」「私生活まで魚臭くなる」というイメージとは少し違いました。
白衣やエプロン、手袋などである程度は防げますし、汗拭きシートや替えのTシャツ、帰宅後の入浴といった対策をするだけでも、不快感は大きく軽減できます。
一方で、牡蠣のように臭いが強い原料や、みりんなどの調味料が苦手で辞めてしまう人も実際にいました。
だからこそ、水産工場で働く前には「自分は魚の臭いが大丈夫か」を考えておくことが大切です。
もし魚介類の臭いがそれほど苦にならず、体を動かす仕事が好きであれば、水産工場は未経験からでも挑戦しやすく、専門知識や技術も身につく魅力的な仕事だと私は感じています。


コメント