「水産加工の仕事はきついと聞くけど実際どうなんだろう」
「働き始めたけど、もう辞めたい」
「自分だけがつらいと感じているのかな」
このような悩みを抱えている人は少なくありません。
私は水産加工会社で約6年間働いてきました。海藻を扱う工場と、貝類や魚類を扱う工場の両方を経験し、現場ならではの大変さも、続ける中で見えてきたことも数多くありました。
結論から言えば、水産加工は決して楽な仕事ではありません。
臭い、寒さ、体力仕事、人間関係など、ほかの仕事にはない大変さがあります。
一方で、すべての人がすぐ辞めた方がいい仕事でもありません。最初の数週間から1か月は特につらく感じる人が多く、その期間を乗り越えると仕事に慣れて働きやすくなるケースもあります。
この記事では、私が6年間働いて実際に感じた「水産加工がきつい理由」を正直にお伝えします。
これから働こうと思っている人や、辞めようか悩んでいる人の判断材料になれば幸いです。
水産加工がきついと言われる理由【6年間働いた実体験】

臭いは想像以上にきつい

私が最初に苦労したのは、魚特有の臭いでした。
1社目では海藻を扱うことが多かったため、そこまで強い臭いはありませんでした。しかし、2社目では貝類やさまざまな魚を扱う工場だったため、環境は大きく変わりました。
私が担当していたのは原料を解凍する工程です。
大量の魚や貝を扱うため、生臭い臭いが常に漂っています。防水エプロンや工場着を着ていても、仕事が終わる頃には体や髪に臭いが移ってしまいます。
帰宅してすぐにシャワーを浴びないと気になるほどでした。
もちろん、何年も働いている先輩の中には「もう気にならない」という人もいました。しかし、臭いだけは最後まで苦手という人も少なくなく、この理由で退職していく人も実際に見てきました。
臭いに慣れるかどうかは個人差が大きい部分だと思います。
冬の寒さは予想以上につらい

水産加工は寒い職場というイメージを持つ人も多いと思いますが、実際は想像以上でした。
魚の鮮度を保つため、0℃以下の保管庫へ何度も出入りすることがあります。
コートを着込んで冷蔵庫へ入り、その後は原料の積み込みで大量に体を動かきます。すると今度は汗をかき、その状態で再び冷蔵庫へ入るという作業の繰り返しです。
この温度差がかなり体にこたえます。
私は6年間働いてある程度慣れましたが、それでも冬になると「またこの季節が来たか」と毎年憂鬱になっていました。
寒さに強い人でも、最初の冬はかなり大変だと思います。
防寒対策をしっかり行うことも大切ですが、それだけでは完全には防げない仕事特有の厳しさがあります。
人間関係は職場によって大きく変わる

水産加工の仕事で見落とされがちなのが、人間関係です。
もちろん優しい人もたくさんいました。
私も仕事を丁寧に教えてくれたり、困っていると助けてくれたりする先輩には何度も救われました。
一方で、現場仕事ということもあり、気性が荒い人がいる職場もあります。
忙しい時期になると全体がピリピリした雰囲気になり、質問しづらい空気になることもありました。
私自身も入社したばかりの頃は、誰に話しかければいいのか分からず、恐る恐る仕事をしていた記憶があります。
ただ、この部分は会社による差が非常に大きいと感じています。
現場で冗談が飛び交っていたり、笑い声が聞こえたりする職場もありますし、逆に終始緊張感だけが漂う職場もあります。
仕事内容以上に、人間関係が働きやすさを左右することも珍しくありません。
体力的にきつい仕事が多い

水産加工は、想像以上に体力を使う仕事です。
私が働いていた工場では、10kg以上ある原料を何度も運んだり、パレットに積み上げたりする作業が日常的にありました。
持ち上げるだけではなく、中腰の姿勢になることも多いため、腰への負担も大きくなります。
実際、長年働いている先輩の中には腰痛を抱えている人も少なくありませんでした。
私は20代だったこともあり、体力で何とか乗り切ることができました。しかし、50代の先輩たちが「この仕事は本当に体にくる」と話しているのを何度も聞きました。
体力に自信がある人でも、最初の数週間は筋肉痛になることも珍しくありません。
だからこそ、普段からストレッチをしたり、腰を痛めない持ち方を覚えたりすることも長く働くためには大切だと感じました。
水産加工を続けたほうがいい人

ここまで読むと、「やっぱり辞めたほうがいいのかな」と思う人もいるかもしれません。
しかし、私は全員がすぐ辞めるべきだとは思いません。
実際に6年間働いて感じた「もう少し続けてもいい」と思えるケースがあります。
入社してまだ1か月以内の人

仕事を始めて数日や数週間で辞めたくなる人は少なくありません。
私自身も最初は毎日必死でした。
どこに何があるのか分からない。
誰に聞けばいいかも分からない。
作業スピードについていけない。
毎日怒られているような気持ちになりました。
しかし、不思議なことに1か月ほど経つと少しずつ景色が変わってきます。
職場の人に名前を覚えてもらえたり、仕事の流れが理解できたり、自分なりのペースがつかめたりします。
どこで急げばいいのか、逆に丁寧にやるべきところはどこなのかも、少しずつ体で覚えていきます。
もちろん個人差はありますが、まだ働き始めて間もないのであれば、焦って判断する必要はないと思います。
人間関係が良い職場なら続ける価値はある

私が一番大切だと思うのは、人間関係です。
現場で笑い声が聞こえる。
先輩同士が冗談を言い合っている。
分からないことを質問すると嫌な顔をせず教えてくれる。
このような職場なら、多少仕事がきつくても続ける価値は十分あります。
水産加工の仕事は決して楽ではありません。
だからこそ、一緒に働く人が良い職場は大きな財産になります。
仕事は慣れることができますが、人間関係は簡単には変えられません。
働きやすい雰囲気があるなら、もう少し頑張ってみるのも一つの選択肢です。
給与や待遇がしっかりしている

意外と見落とされがちですが、待遇も重要な判断基準です。
例えば、
・残業代が15分単位できちんと支給される
・勤怠管理がしっかりしている
・ボーナスが毎年支給される
・有給休暇を取得しやすい
このような会社は、社員を大切にしている可能性が高いと感じます。
逆に、サービス残業が当たり前だったり、タイムカードを押してから仕事をさせられたりするような会社であれば、長く働くメリットは少ないでしょう。
仕事内容だけで判断するのではなく、会社全体の働きやすさも含めて考えることが大切です。
水産加工を辞めたほうがいいケース

一方で、無理をして続けないほうがいいケースもあります。
私が最も伝えたいのは、「我慢しすぎないこと」です。
心や体に異変が出ている

仕事へ行く前に吐き気がする。
夜眠れない。
休日になっても仕事のことばかり考えてしまう。
涙が出る。
朝になると体が動かない。
このような状態になっているなら、それは単なる「仕事がきつい」では済まないかもしれません。
私も転職を経験してきましたが、心身を壊してしまうと回復には長い時間がかかります。
仕事は替えられても、健康は簡単には取り戻せません。
無理を続けるくらいなら、一度環境を変えることも立派な選択です。
ハラスメントが当たり前になっている

仕事を教えることと、人格を否定することは違います。
怒鳴る。
必要以上に見下す。
人前で恥をかかせる。
暴言を吐く。
こうした職場なら、無理に耐える必要はありません。
もちろん多少厳しい指導はどの職場にもあります。
しかし、それが人格否定や嫌がらせになっているなら話は別です。
そのような環境では、成長よりも精神的な消耗のほうが大きくなってしまいます。
将来が想像できない

毎日同じ仕事を繰り返しながら、
「5年後も10年後もこのままなのかな」
と感じる人もいるでしょう。
もし給与も上がりにくく、新しいスキルも身につかず、この仕事を続ける未来がどうしても想像できないのであれば、一度キャリアを見直すタイミングかもしれません。
特に20代であれば、未経験歓迎の求人も多く、ポテンシャル採用を行っている企業も少なくありません。
年齢を重ねるほど選択肢は少しずつ狭くなるため、「転職したい」と思う気持ちが固まっているのであれば、早めに情報収集を始めることをおすすめします。
6年間働いて感じたこと

6年間水産加工の現場で働いてきて、「慣れること」と「最後まで慣れなかったこと」がありました。
これから働く人や、今まさに辞めようか悩んでいる人の参考になればと思います。
仕事そのものは慣れる

水産加工の仕事は、最初は本当に難しく感じます。
魚の種類も分からない。
どの商品が良品で、どれが規格外なのかも判断できない。
作業スピードについていけず、自分だけが遅いように感じることもありました。
しかし、この部分は続けていれば少しずつ慣れていきます。
毎日同じような作業を繰り返しているうちに、魚の見分け方や商品の品質も自然と判断できるようになります。
作業スピードも上がり、周囲を見ながら動く余裕も出てきます。
最初は先輩に助けられる側だった自分が、新しく入ってきた新人をサポートする立場になることもありました。
寒さや魚の臭いも、完全に平気になるわけではありませんが、少しずつ環境に適応していきます。
だからこそ、働き始めて数週間で「自分には向いていない」と決めつけるのは少し早いかもしれません。
一方で、数か月経っても仕事自体にまったく慣れない、毎日強い苦痛を感じるのであれば、それは向いていないサインである可能性もあります。
無理を続ける必要はありません。
人間関係だけは慣れないこともある

反対に、人間関係は「慣れれば大丈夫」とは言い切れない部分でした。
もちろん組織なので、多少の価値観の違いや苦手な人はどこの会社にもいます。
しかし、根本的に相性が合わない人というのは、何年働いても合わないことがあります。
実際、ベテラン同士でも必要以上に関わらず、お互いに適度な距離を保ちながら仕事をしている人たちを何人も見てきました。
工場は同じメンバーと毎日顔を合わせることが多く、人間関係が固定されやすい環境です。
そのため、仕事内容以上に人間関係がストレスになる人も少なくありません。
もし職場全体が常にピリピリしていたり、誰かが毎日のように怒鳴られていたりするような環境であれば、「自分が悪い」と思い込みすぎないことも大切です。
水産加工で身についた本当のスキル

「水産加工ではどんなスキルが身につきますか?」
そう聞かれると、多くの人は魚をさばく技術やフォークリフトの資格を思い浮かべるかもしれません。
もちろん、それらも立派なスキルです。
しかし、私が6年間働いて本当に役立ったと感じるのは、もっと土台となる力でした。
例えば、体力。
毎日体を動かし続ける仕事だったので、自然と体力や持久力が身につきました。
また、現場全体の流れを見ながら、自分が今何を優先すべきかを考える力も鍛えられました。
新人の頃は曖昧な指示に戸惑うこともありましたが、自分が教える立場になってからは、「どう伝えれば相手に分かりやすいか」を考えるようになりました。
さらに、真面目に仕事へ取り組み、少しずつ周囲から信頼を得る経験も、その後の仕事に活きています。
こうした力は職種が変わっても通用する、社会人としての基礎力だと感じています。

水産加工から転職しやすい仕事

水産加工で働いた経験は、意外とさまざまな仕事に活かすことができます。
ここでは、私自身の経験も含めて紹介します。
食品メーカーや食品商社の営業
私が特におすすめしたいのが、食品メーカーや食品商社の営業です。
現場で商品を扱った経験がある人は、商品の品質や加工工程、歩留まりなどを理解しています。
これは営業になってから大きな強みになります。
実際、私も転職活動で水産関係の営業職を受けた際、現場経験を評価していただき、複数の企業から内定をいただきました。
商品を知らない状態で営業を始める人よりも、お客様に現場目線で話ができるのは大きなアドバンテージです。
倉庫・物流業界
フォークリフトの資格を持っている人であれば、物流や倉庫業界も選択肢になります。
在庫管理や商品の入出庫、現場全体の流れを考えながら仕事を進める力は、水産加工と共通する部分も多くあります。
体を動かす仕事が好きな人にも向いているでしょう。
スーパーの鮮魚部門
魚を扱う仕事を続けたいのであれば、スーパーの鮮魚部門もおすすめです。
加工だけでなく、商品の陳列や接客を担当する店舗もあります。
自分で加工した商品がお客様に選ばれていく様子を見ることができるため、水産加工とはまた違ったやりがいがあります。
接客にも興味がある人には、挑戦しやすい仕事です。
営業職
「工場勤務から営業なんて無理」と思う人もいるかもしれません。
私も最初はそう思っていました。
しかし、工場では意外とコミュニケーション能力が求められます。
現場で連携し、相手の動きを見ながら仕事を進める経験は、営業でも十分に活かせます。
もちろん、数字を追う仕事なので大変さはありますが、収入アップや新しいキャリアを目指したい人にとっては挑戦する価値がある仕事だと思います。

まとめ

水産加工は、決して楽な仕事ではありません。
臭い、寒さ、体力仕事、人間関係など、他の仕事にはない大変さがあります。
しかし、その一方で仕事そのものは少しずつ慣れていきますし、現場でしか身につかない経験やスキルも数多くあります。
もし今、「辞めたい」と悩んでいるのであれば、まずはその理由を整理してみてください。
仕事そのものにまだ慣れていないだけなのか、それとも人間関係やハラスメント、心身の不調など、根本的な問題があるのかによって判断は変わります。
そして、もし転職を考えるのであれば、特に20代は選択肢が広い年代です。
私自身も水産加工で6年間働いた後、未経験からWebライター、さらにWebディレクターへ昇格することができました。
当時は想像もしていなかった働き方でしたが、一歩踏み出したことでキャリアは大きく変わりました。
今つらい思いをしている人も、水産加工で積み重ねた経験は決して無駄にはなりません。
自分の健康と将来を大切にしながら、納得できる選択をしてほしいと思います。
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