大手病に正しいも何もない?就活生の大手志向が批判される理由を考えてみた

大手病 キャリア

「大手病」という言葉があります。

大手企業に入ることにこだわり、仕事内容や自分との相性よりも「大手であること」を優先する人を指して使われる言葉です。

「大手病になると就活に失敗する」

「会社は規模ではなく、自分がやりたい仕事で選ぶべき」

「中小企業やベンチャーにも目を向けるべき」

こうした意見は、就職活動について調べているとよく見かけます。

しかし、私はこの言葉に少し違和感があります。

大手に入りたいことの、何が悪いのでしょうか。

給料が高いから。

福利厚生がいいから。

休みが多いから。

安定しているから。

社会的な信用があるから。

親を安心させたいから。

あるいは、単純に「大手に勤めている自分が格好いい」と思うから。

印象はどうあれ、どれも、会社を選ぶ理由として成立するのではないでしょうか。

そこでこの記事では、「大手病は正しいのか」という問いそのものについて考えてみます。


大手病とは何なのか

定義

まず、大手病という言葉について考えてみましょう。

一般的には、

「大手企業に入ることに強くこだわり、大手なら仕事内容を問わず就職したいと考える状態」

のような意味で使われます。

そして、大手病に対しては、

  • 仕事内容を見ていない
  • ブランドだけで会社を選んでいる
  • 中小企業を見ていない
  • 自分のやりたいことが分かっていない
  • 大手に落ち続けて就活が長期化する

といった批判があります。

確かに、こうした状態なら問題になるでしょう。

ただ、ここで一つ考えたいことがあります。

「大手に行きたい」ということと、「とりあえず大手」ということは、本当に同じなのでしょうか。

私は違うと思います。


大手企業を選ぶこと自体は、別におかしくない

理由

そもそも会社に就職する理由を考えてみます。

多くの人にとって、仕事は生活のためでもあります。

そうであれば、

「できるだけ給料が高い会社で働きたい」

「休日が多い会社がいい」

「福利厚生が充実している会社がいい」

「できるだけ安定した会社で働きたい」

と考えるのは、むしろ自然ではないでしょうか。

そして、こうした条件を考えたとき、大手企業が候補に入りやすいのも当然です。

もちろん、大手企業だから必ず条件がいいわけではありません。

しかし、一般論として大企業には、

  • 給与水準
  • 福利厚生
  • 教育制度
  • 休暇制度
  • 社会的信用
  • 事業規模

などの面で魅力を感じる人がいるでしょう。

それなら、

「条件がいいから大手に行きたい」

という人を、なぜ「大手病」と呼ぶ必要があるのでしょうか。


「やりたい仕事」を入社前から見つける必要はあるのか

そもそも

大手病を批判するとき、

「大手かどうかではなく、自分のやりたい仕事で会社を選ぶべき」

という意見があります。

これも、一理あります。

しかし、少し現実的に考えてみる必要があります。

働いたことのない人間に、その仕事が自分に合っているか本当に分かるのでしょうか。

営業に興味があって入社したものの、実際に働いてみたらノルマが厳しくて嫌になるかもしれません。

逆に、全く興味のなかった仕事をやってみたら、意外と面白いと感じるかもしれません。

入社した時点では好きだった仕事でも、数年後には価値観が変わっているかもしれません。

人間は働きながら変わります。

だから、

「大学生の段階で自分の天職を見つけ、それに合った会社を選ばなければならない」

と考えすぎる必要もないと思います。

やってみなければ分からないことは、普通にあります。


「とりあえず大手」はなぜ批判される?

とりあえず

ここでようやく「大手病批判」の問題点が出てきます。

私は、問題なのは**「大手」ではなく「とりあえず」なのではないか**と思います。

例えば、

「給料を重視したい。だから大手を中心に受ける」

これは一つの意思決定です。

「安定性を重視したい。だから大手を狙う」

これも分かります。

「社会的信用が欲しい。だから大手に入りたい」

これも本人が望んでいるなら構いません。

「大手に勤めていると言えるようになりたい。見栄でもいいから、そこを目指したい」

これだっていいでしょう。

一方、

「みんな大手を受けているから」

「親が大手に行けと言うから」

「大手なら何となく安心だから」

これらは、社会から批判や圧力が出る可能性があります。

なぜなら、自分の意思を放棄、あるいは自分の意思が何なのか模索せず、企業規模だけを追いかけているからです。


見栄だって、会社を選ぶ理由になる

理由

ここは少し綺麗事を外して考えてみます。

「大手企業に入りたい」という人の中には、

「人から凄いと思われたい」

という人もいるでしょう。

一般的には「そんな理由で会社を選ぶなんて」と否定されるかもしれません。

しかし、本当にそれが悪いのでしょうか。

人間には承認欲求があります。

「いい会社に入りたい」

「周囲から評価されたい」

「親を安心させたい」

「自分はこれだけできる人間だと証明したい」

こうした感情も、人生を動かす力になります。

見栄という言葉を悪い意味だけで捉える必要もないでしょう。

「こうなりたい」という自分の理想を、外に向かって示すことも見栄の一つです。

大手に入りたい。

それが自分の本心なら、別に隠す必要もありません。

むしろ、

「俺は見栄のため大手に入りたい。だから、そのために努力する」

と考えているほうが、なんとなくより、よほど信念があるといえます。


大手に入ることを「目的」にする必要もない

目的とゴール

そして、ここが一番重要だと思います。

会社への就職は、人生の目的ではなく手段です。

例えば、

「大手企業で大規模な仕事を経験したい」

という人がいたとします。

その人は、

大手企業に入る

大きな金額を動かす

大きな組織を動かす

顧客や取引先との関係を学ぶ

事業を動かす経験を積む

数年後に起業する

というキャリアを考えているかもしれません。

この人を「大手病」と呼ぶのは、少し違うでしょう。

大手企業を自分の目的を達成するための道具として使っているからです。

これは大手に限った話ではありません。


中小企業やベンチャーも「手段」になる

中小企業に入る人も、

「若いうちから幅広い仕事を経験したい」

という目的があるかもしれません。

ベンチャーに入る人も、

「経営者の近くで事業を作る経験をしたい」

という目的があるかもしれません。

フリーターになる人だって、

「資格取得のために勉強時間を確保したい」

という目的があるかもしれません。

つまり、

大手だから正解でも、中小だから正解でも、ベンチャーだから正解でもありません。

その人が何をしたいのかによって、同じ会社や働き方の意味は変わります。


「大手だから安心」も「ベンチャーだから成長できる」も鵜呑みにしない

鵜呑み

ここは逆方向にも注意が必要です。

大手病の人を否定する人の中には、

「ベンチャーなら若いうちから裁量権がある」

「中小企業なら経営者との距離が近い」

「大手企業では歯車になる」

といった説明をする人もいます。

しかし、これも単純化しすぎでしょう。

人間のいい悪いの主観をすべて取っ払い、

「若手に裁量がある」が、

「教育する余裕がないから、自分で成長しないと生き残れない」

という意味かもしれません。

「幅広い仕事を任せてもらえる」が、

「人が足りないから何でもやらざるを得ない外圧」

という意味かもしれません。

逆に、大手企業の「分業」が、専門性を身につける環境になることもあります。

結局、会社にはそれぞれ表と裏があります。

大手だけが綺麗でもなければ、ベンチャーだけが面白いわけでもありません。


結局、何を選ぶかより「何のために選ぶか」

何のため

ここまで考えると、「大手病は正しいのか」という問い自体が少し変に思えてきます。

大手に行きたいなら、行けばいい。

給料が欲しいなら、給料を取りに行けばいい。

安定が欲しいなら、安定を取りに行けばいい。

見栄を張りたいなら、見栄を張ればいい。

起業したいなら、そのために大手企業を利用してもいい。

専門性を身につけたいなら、その環境を選べばいい。

重要なのは、

「自分はこうしたい。そのために、この会社、この仕事、この働き方を主体的に選び取る」

という考え方ではないでしょうか。


まとめ|大手病に正負はない

大手企業を目指すこと自体は、悪いことではありません。

給与、福利厚生、休日、安定性、社会的信用、。

どれも就活生には魅力ではないでしょうか。

問題になるとすれば、「大手だから」という理由だけで、自分が何を求めているのかを考えなくなることでしょう。

ただ、それは大手企業だけの問題ではありません。

「ベンチャーだから成長できる」

「中小企業だから裁量がある」

という言葉を何も考えずに信じることも、同じように危険です。

結局のところ、

大手病に正しいも何もない。

大手でも、中小でも、ベンチャーでも、会社員でも、フリーターでもいい。

大切なのは、

「俺はこうしたい。ではそのためには…?」

と自分で目的、手段を決めることだと考えています。

だからこそ、「大手に行きたい」という欲望を無理に否定する必要もなく、

大手病という、造語に惑わされないことが大事なのではないでしょうか。

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